下垂体は、様々なホルモンの働きをコントロールしている部位で、大きさはえんどう豆程度。
前葉と後葉からホルモンを分泌し、生体の機能維持に深く関わっています。
下垂体前葉からは6種類のホルモンが分泌されます。
◆成長ホルモン
骨の伸長や筋肉の成長を促進します。
肝臓や筋肉、脂肪などの臓器で行われる代謝を促進します。
◆甲状腺刺激ホルモン
甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモン生成を促します。
◆副腎皮質刺激ホルモン
副腎皮質を刺激し、コルチゾールなどのホルモン生成を促します。
◆性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)
精巣、卵巣および生殖器官を刺激し精子と卵子、性ホルモンの生成を促進します。
◆プロラクチン(催乳ホルモン)
乳房を刺激し、乳汁の生成を促進します。
また、下垂体後葉からは2種類のホルモンが分泌されます。
◆抗利尿ホルモン
腎臓に働き、水分調整を行うよう統制する。
◆オキシトシン(射乳ホルモン)
乳腺の筋肉を収縮させて、乳汁を排出させる。分娩時の子宮収縮作用もある。
※下垂体機能低下による影響
◆成長ホルモン欠乏症
小児期には全般的に成長が悪く身長も伸びないという低身長症。
成人の場合は体脂肪の増加と筋肉組織の減少、骨密度の低下が起こります。
全般的に疲れやすくなり活力も低下します。
◆性腺刺激ホルモン欠乏症
女性の場合には無月経になったり不妊症、腟の乾燥などが起こります。
男性では、精巣が萎縮し、精子の産生低下が起こり、不妊症などが起こります。
◆甲状腺刺激ホルモン欠乏症
甲状腺の機能低下のほかに錯乱、冷え性、体重増加、便秘、皮膚の乾燥などが起こります。
◆副腎皮質刺激ホルモン欠乏症
副腎の機能が低下し、疲労、低血圧、低血糖、ストレスに対する抵抗力の低下が起こります。
最悪の場合は死に至る可能性もあります。
◆プロラクチン欠乏症
出産後の乳汁量が減少したり出なくなったりします。
なお、男性ではプロラクチン欠乏の症状ははっきりしません。