吃音(きつおん)
言語中枢や神経にはどこも異常はないのに、話すときに言葉の最初の音を繰り返したり、言葉がつかえたりするもの。幼児期には15%くらいに吃音が認められますが、 これは言語中枢と発語器官の連絡システムが発育していないためのものです。一時性吃音と呼ばれ、ほとんど自然に治りますが、精神的な問題などにつながることにより、二次性吃音となり、そのままでは治らなくなる場合もあります。一口に吃音といっても、吃音の症状はいろいろあり、大きく分けると3種類に分けられます。 吃音には、一般的に3つのタイプがあると言われています。 ①無声型(難発型)吃音 「・・・・・・・・・。」最初の言葉(ここでは「あ」)が、なかなか出ないタイプを指します。 また、「あ・・・」と言ったあと、それに続く言葉が上手く出ず、 言葉が続かないタイプも無声型に分類されます。 ②連声型(連発型)吃音 「あ、あ、あ、ありがとうございます」はじめに「あ、」と言ったあと、 「あ、あ、あ、ありがとうございます」といったように、 最初の言葉を連続して発音してしまうタイプを指します。 ③伸発型吃音 「あーーーーーりがとうございます」のように 最初の言葉を引きのばして発音してしまうタイプを指します。 吃音は現在でも、しっかりと原因が解明されている病気ではありません。 いくつか、考えられる原因はありますが、特定されてはいません。 ◆遺伝説 吃音を引き起こす遺伝子があり、それが原因で吃音になるという説です。 吃音になる人は、家族や親戚にも吃音者がいることが多く、 以前から、遺伝が関係しているとう説がありました。 しかし、家族、親戚に多いのは、共通の習慣やしつけなどあり、 「遺伝」ではなく、「環境」が原因ではないか?という意見もあり、 専門家によっては、遺伝を否定する報告もあります。 2010年、吃音の原因遺伝子が特定されたという報道がありましたが、 まだ研究が進められている段階です。 ◆脳の機能不全説 吃音の人とそうでない方の脳をMRIで検査をした調査が報告されています。 吃音でない人は、発言時「左脳」が優位になりますが、 吃音者は「右脳」が異常に活発になるというものです。 また、言語と非言語運動野の部位の連携が悪く、 そうでない方と比べ、明らかに脳の働きが異なることが報告されています。 ◆環境説 まわりの環境などの影響により、吃音になるという説が報告されています。 しつけの厳しい家の子に吃音者が多いことや、 ストレスなどで悪化することがあるため、原因の1つと考えられています。 また、家族に吃音者がいると、 自然にその人から言葉を覚えたりするため、 本人も吃音になってしまう可能性があるとも報告されています。 ◆性格、精神的問題説 一般に吃音症は、繊細・気にしすぎる。・完璧主義・不安感が強い・あがりやすい という性格の人が多いと報告されています。 実際、吃音は大人になり、自我が芽生えると治りにくい傾向がありますので、 「性格」や「精神的」な要素は関係が強い可能性はあるかもしれません。 当院の治療により、完治するお約束はできませんが、 吃音が出る場面が特定できたり、 症状が発症したストレス的な原因が特定できる場合は、 今現在の状態よりいい状態になる可能性は十分に考えられます。